cafe au lait
「そうよ、ただの従兄」
「よかった」
何が、よかった、なのか首を捻る。
日比谷遥斗は天才家具職人。
この田舎町の人は、皆が口を揃えてそう言うが……ここではちょっと活躍した人は皆「天才」と呼ばれる。
遥斗は、専門学校を卒業してすぐにあの工場を立ち上げた。
彼の作る素朴で使いやすい家具は、この町にとどまらず……かなりの人気を得た。
その爆発的な人気ぶりは、雑誌やテレビの取材が毎日あの工場に押し掛けてくるほどだった。
無名の若き家具職人の作る家具は、人々の感心を引き寄せた。