cafe au lait
遥斗は、根っからの職人だった。
企業からもっと大きな工場を提供しようと言われても、それじゃ作りたいものが作れない、と断り。
せっかくの大量注文も、そんなに沢山作れない、と断り。
遥斗はビジネスには向いていなかった。
結果、彼はただ一人であの小さな工場で家具を作ることだけに精を出す。
「お待たせしました。エスプレッソです」
真っ白なエスプレッソカップに並々と注がれた茶色い液体。
まずその香りを楽しみ、それから一口味わう。
美味しい……
心からそう思えるエスプレッソは、このエスプレッソだけ。