cafe au lait
車がとまって、バンと車の扉が開く音が聞こえた。
「いいから乗れ」
今朝は、ちゃんと着替えをしている遥斗が車から降りた。奥さんの待つ家に帰ったんだ……
私の腕を掴むと軽自動車の助手席に押し込んだ。
遥斗が私の傘を畳むと、それを乱暴に投げ入れバンッと大きな音をたてて扉が閉まる。
「いたい!」
遥斗が運転席に戻ると、車は緩かに発進する。
「十和子、男できたか?」
「そんなの社長には関係ありません」
「関係なくない。十和子に男ができるなんて、俺は許せない。
それから今日は十和子に大切な話がある」
私は口を閉ざした。
それは社長としての意見? それとも従兄として?
何をどう許せないのかに、私は混乱した。
沈黙の中、予定より五分早く私は工場に到着してしまった。