cafe au lait


 幸せな二人は、待望の子どもまで手に入れた。



 最近は出産に控えてなのか、工場には姿をみせていない。

 私には一生味わうことのできない幸せな丸いお腹を抱えて、彼女は遥斗を送り出したのだろうか。




「奥さんの体調いかがですか?」


 遥斗は途端に不機嫌になると、大きなヘッドホンを手にした。



「おかげさまで」


 心にもないような発言。

 それに不機嫌さを爆発させて、私を目の敵とばかりに睨みつけてきた。


 ヘッドホンを耳にするとアイポッドを操作する遥斗が、よく分からなくなる。


 その中には、遥斗の好きな曲がたくさんつまっている。

 作業に息詰まると、いつも軽快な音楽を聞きながら家具と向き合う。



 そして今日も、遥斗の目の前にはあのファンタジーな椅子が置かれていた。


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