cafe au lait


 事務机に座り、月末決済のために準備しておいた請求書と通帳を取り出す。


 遥斗を見ないように、私は自分に与えられた仕事をはじめる。





「遥斗が好き」


「聞こえてる」


「え?」



 通帳から顔を上げると、ヘッドホンをつけたままの遥斗がこちらをジッと見ていた。


「音楽聴いてないの?」


「聴こうかどうしようか悩んでたとこ」


 遥斗はヘッドホンを外すと、それを作業台に置いた。


 私は自分の失態を悔やんで、通帳とにらめっこをすることにした。



「俺も十和子が好き」



 だったら……と拳を握り締めて、慌てて自分の考えを打ち消す。






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