cafe au lait
「この野郎……十和子は良くて、俺はダメなのか? 喧嘩売ってんのか、この椅子!」
ファンタジーな椅子は、相手を嘲笑うかのように沈黙した。
そのやり取りが可笑しい。私は、ファンタジーな椅子に座ったまま笑い声をあげるが椅子は音をたてない。
肘掛けに肘を預ける。やっぱり音はたてない。
「十和子の笑った顔……久々に見た」
遥斗が肘掛けに手をつくとギシッと音がなる。私の腕は拘束されて唇を奪われる。
「遥斗」
喉仏が目の前に迫る、それを避けるように頭を左右に振った。
「十和子の“遥斗”は特別……」