cafe au lait

「遥斗、わかったから。やめて……」


 抵抗虚しく、遥斗の唇と私の唇が合わさると椅子はギシギシと鳴いた。



「もう一回する?」


「しない! これ預かりものだよ!」



 遥斗の唇は、一ミリの隙間を残さず私の口を塞ぐ。

 責め立てるような柔らかな舌が絡まり合うと、もう抵抗心なんてどこかに吹き飛んでしまう。





 もうやめて……と、何度も何度も遥斗の胸を押す。



 言い逃れの出来ない真実は、遥斗が既婚者であるということなのに。






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