cafe au lait


「遥斗、いい加減にして!」

「ああ、そうだな。弱いものイジメみたいになってきた。

 十和子、コイツお前に気があるんだよ。十和子は誰のことが好きなのかはっきり言ってやれよ。そうすれば終わるだろ?

 それから、もうコイツの店には行くな」


「遥斗……」


 怖い……遥斗はこんなこと言う人じゃないのに……


 私が好きな遥斗は、もっと正々堂々としている。



「椅子が、一つ足りないとあの狭い店は大変なんだよ。早めに修理を終わらせて欲しい。

 俺は、そう言いに来ただけだ……トーコさんごめんね」


 胤くんの素敵なバリスタスタイルが、大量のおが屑だらけだ。

 彼は、立ち上がり、煩わしそうに、それを手で払う。


 いつものカウンター越しの穏やかな笑みで、彼は柔らかく微笑んだ。



「トーコさん。また明日の朝、ご来店お待ちしていますね」


 泣きそうな瞳で柔らかく微笑んだ。





< 39 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop