cafe au lait
胤くんは、真剣な顔をした。
「だから、最初はこんなシチュエーションじゃなくてもっと大切にしたい。
トーコさんにいっぱい俺のこと知ってもらって、まずはデートとかして、それから手繋いで、キスしたり……とか? うわ、何言ってんだろ。恥ずかしすぎる」
胤くんは、顔をくしゃっとさせてうつむいた。
「とにかく、まだ時期がきてないってことです。でも、トーコさんが俺を頼ってくれてよかった」
「胤くん……」
「そんな顔して名前呼ばないでくださいよー! トーコさん、さっきまで俺の名前すら興味なかったじゃないですかっ!」
「胤くん、ごめん」
「いいです、俺、絶対トーコさん助けます。でも、問題が……」
「なに?」
「あの職場には、行かせたくない」
「それって仕事をやめろってこと?」
「そういうことです。さっき、あんな場面目撃して俺なりに考えました。トーコさんはアイツと離れるべきです。だから、考えてみてください。ここは田舎だけど、再就職先なら、俺もあてがありますから」
遥斗から離れろと言ってくれた。私もずっと思ってたことを、彼がかわりに熱弁してくれた。
救われた……抱かれるより、ずっと欲しかった救いだったのかもしれない。