cafe au lait

 私は、このファンタジーな椅子にも救われたのかも。


「トーコさん、その椅子気に入りましたか?」


 彼の声が、少し棘を含んだ口調になる。


「気に入ったよ、とっても」

「でも俺としては面白くないな」


 胤くんは、カチャカチャと控え目な音でカップを用意するとカウンターから出てくる。

 私は、瞳を開けて彼の姿を眺めた。



 いつ見ても、パリッとアイロンのかかったシャツは清潔で好印象。

 胤くんは、湯気の向こう側で和らぐような笑みを浮かべる。







< 50 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop