cafe au lait
私は、このファンタジーな椅子にも救われたのかも。
「トーコさん、その椅子気に入りましたか?」
彼の声が、少し棘を含んだ口調になる。
「気に入ったよ、とっても」
「でも俺としては面白くないな」
胤くんは、カチャカチャと控え目な音でカップを用意するとカウンターから出てくる。
私は、瞳を開けて彼の姿を眺めた。
いつ見ても、パリッとアイロンのかかったシャツは清潔で好印象。
胤くんは、湯気の向こう側で和らぐような笑みを浮かべる。