cafe au lait
大きな声をあげると、キュイーンという音がピタリと止んだ。
「おはよう? もう朝?」
工場の真ん中に積み上げられていたおが屑の塊が崩れると、中から一人の男が現れた。
伸ばしっぱなしの黒い髪は、後頭部で無造作に一纏めにされていて、服は昨夜最後に彼を見たときから変化がない。
彼の前には、新作の家具が置かれていた。
本棚だ。
木を削り繊細な彫刻が施されている、相当な労力と時間がかかったに違いない。
「また家に帰ってないんですか?」
「ああ……忘れてた」