アーティクル
 今度やって来る、新しいお父さんは、この王国を、住人を、守ってくれるのであろうか。

「出ていったお父さん。お父さんは、この国と、その住人を見捨ててしまうのですか」

「それとも、新しいお父さんが、律子には必要だというのですか」

 律子の問いに、答えてくれる者など、何処にもいなかった。


 お腹がキリキリと痛んだ。

 律子の涙は止まらなかった。


 トイレの中で、ポツンと灯っている明かりは、一晩中、消えることはなかった。



第一話 『トイレの王様』

完結
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