アーティクル
 お前はソイツの知り合いか、と何度も倫子が突っ込んだ事がある。

 当然、想像の産物であり、真実ではないのだが、他人の人生を語るのだ。
 これは、そう簡単にできる芸当ではないが、世間一般では、変人だ。

「あっ、オネエサン、ボクにお肉を突っつき回したカルボナーラをお願い」

 コップの水を口に含んでいた倫子の耳に、不意にジェームスの言葉が飛び込んできた。
 思わずジェームスに向いて吹き出しそうになったが、倫子は寸前でこらえた。
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