アーティクル
第三話 キュウリの気持ち
「キュウリってさ、いつも何考えているんだろうね」

 土手の上で、夕陽を眺めながら、君は言った。
 少しだけ、君は笑っていたかもしれない。

 僕たちはまだ、小学生だった。
 夕陽に晒された君のセミロングの髪が、茶褐色に輝いて見えた。

「ねぇ、分かる? あの夕陽の赤が、情熱的で美しいのは、キュウリの気持ちを代弁しているかも知れないのよね」

 同意を求めるような君の言い回しに、僕は戸惑った。

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