アーティクル
「リンコ。ちょっとおかしいんだ」

「何よ、ジェームス」
 倫子は二階から面倒臭そうに降りてきた。

「おかしいんだよね。この間取りと、建物の大きさから、どう考えてもこの壁の奥に空間があると思うんだ」

「ジェームス、まともなことを言わないで。…確かにそうね」

「でも、いくら調べても、何も見付からないんだ」

「よく調べたの? パスタ臭いわね」

「入り口は見当たらないんだ。ごめん、チーズと牛筋のハーモニーが素晴らしかったんだ」

「この館には、秘密の部屋、隠し部屋があるのかも知れないわね」
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