アーティクル
日本軍将校、長谷川宗一郎は、対峙するロシア軍を見て、いつ蹂躙されてもおかしくはないという恐怖から、全身の小刻みな震えが止まらなかった。
両軍は、湖上にまで進出し、睨み合いを続けているが、日本軍の数においての劣勢は否めず、補給が滞っていた日本軍の兵士たちはみな、空腹で凍え、闘える状態とは言い難たかった。
何故、不利を承知で、湖上にまで陣を敷くのか。
長谷川は愚かだと思った。
しかし、誰も口にはしない。
ただ、長谷川は、海を隔てた遠い故郷を思う部下たちを、死なせる訳にはいかなかった。
長谷川はロシア軍の急襲に備えて、気付かれぬよう、自陣内の氷上に穴をあけ、爆薬を仕込んだ。
いざとなったら、自陣に引き込み、氷を破壊し、敵の進軍を止める腹積もりであった。
長谷川はふと、作業の手を止め、夜空を見上げた。
まるで、満天の星空が、長谷川の頭上に降り注いでいるかのようであった。
「なんて美しい星空なんだ」
長谷川は感嘆した。
両軍は、湖上にまで進出し、睨み合いを続けているが、日本軍の数においての劣勢は否めず、補給が滞っていた日本軍の兵士たちはみな、空腹で凍え、闘える状態とは言い難たかった。
何故、不利を承知で、湖上にまで陣を敷くのか。
長谷川は愚かだと思った。
しかし、誰も口にはしない。
ただ、長谷川は、海を隔てた遠い故郷を思う部下たちを、死なせる訳にはいかなかった。
長谷川はロシア軍の急襲に備えて、気付かれぬよう、自陣内の氷上に穴をあけ、爆薬を仕込んだ。
いざとなったら、自陣に引き込み、氷を破壊し、敵の進軍を止める腹積もりであった。
長谷川はふと、作業の手を止め、夜空を見上げた。
まるで、満天の星空が、長谷川の頭上に降り注いでいるかのようであった。
「なんて美しい星空なんだ」
長谷川は感嘆した。