アーティクル
「やだ、ここ。トイレ…、なの?」

 倫子は呟いた。
 ピンク色をしたピカピカの洋式トイレが、そこにあった。
 いや、それだけではない。トイレ全体が、ピカピカに磨かれている。

 便器のフタは上げてあった。

 倫子は、ごく自然に、便座に腰を下ろしてみた。
 その目線でライトを回してみると、何やら独特の世界が広がった。


 首をかしげたダルメシアン。
 心配そうに見つめるガラスのペンギン。
 壁に吊り下げられた木製のカメ。

 三者三様にそれぞれ、倫子に同じことを言う。

「何? どういうこと?」
 倫子は耳を澄ました。

「えっ?」

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