アーティクル
 倫子は便座のフタを閉じた。
 フタの上に、何かが貼り付けられていた。
 ナイロン袋に包まれ、セロハンテープで重ね貼りされていた。

「手紙?」

 倫子は二つ折りの手紙を開いた。

「そ、んな・・・」


おぉ……、
おおおおぇええぇ…。
おおえああああぁアア・・・。


「リンコ、どうした! リンコ、大丈夫か! リンコ、リンコッ…」

 部屋を歩き回っていたジェームスだったが、倫子のただならぬ声を聴いて、穴に駆け寄った。

「リンコ!」
 ジェームスは叫んだ。

 穴の中で、倫子は嗚咽していた。



第八話 『隠された小部屋』

完結
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