アーティクル
今度は壁に吊された、木製のカメを見付けた。
お父さんとお母さんが、律子が産まれる前に行った、海外旅行の記念だ。
この手彫りのカメは、南の島からやって来たそうだ。
「ノロノロのカメさん」
律子は甲羅に向かって話し掛けた。
「トイレの王様って、本当にいるの?」
律子は甲羅に顔を近付けた。
「人が話をしているのに、背を向けているなんて、失礼なんじゃない?」
「……」
「何とか言いなさいよ。律子が聞いてるんだから」
カメは黙って背を向けたままだ。
「もう良いわよ。詰まらない人達ね」
律子は怒って、首を傾げているダルメシアンの方を向いた。
お父さんとお母さんが、律子が産まれる前に行った、海外旅行の記念だ。
この手彫りのカメは、南の島からやって来たそうだ。
「ノロノロのカメさん」
律子は甲羅に向かって話し掛けた。
「トイレの王様って、本当にいるの?」
律子は甲羅に顔を近付けた。
「人が話をしているのに、背を向けているなんて、失礼なんじゃない?」
「……」
「何とか言いなさいよ。律子が聞いてるんだから」
カメは黙って背を向けたままだ。
「もう良いわよ。詰まらない人達ね」
律子は怒って、首を傾げているダルメシアンの方を向いた。