アーティクル
「賢司君。私、隠されるの」

 律子は夕陽を見ながら、賢司に言った。

「カクサレル?」

「お母さんがね、私を閉じ込めるの」

「……」

「もう、出て来なくてもいいって」

「それ、どういう意味?」

「ある日、本当に閉じ込めたの。内装業者の方が来て」

「そんな」

「あはは、天井に穴を開けて、業者の方が助けてくれたわ」

「笑い事じゃないよ」

「ううん、違うの。それで良かったの」




・。
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