[短編] 昨日の僕は生きていた。
 そもそも、僕は何で死んだんだ? 全く覚えていない。
 香織ちゃんから聞けば良かった。


 母さん達を見ているのも心苦しかったので、僕は自分の部屋に戻る事にする。

 宙を移動するのにも慣れてきて、二階に上がるのも容易かった。

「うわ……すごい」

 僕の部屋は半分くらい片付けられていた。
 昼間に母さん達がやってくれたのだろう。

「なんだ、コレ?」

 ベッドの上にひとつの写真。不思議と触れることができた。

 僕と香織ちゃんの写真だ。
 付き合い始めた頃、初めて撮ったものだ。無理やり撮られて嫌がる僕と笑顔の香織ちゃん。

 でも、なぜかグシャグシャだ。
 とりあえずポケットに突っ込んでおく。

「はぁ……これからどうしよう」

 時間はいつも通り経過している。そんな中、僕の時間は止まっているなんて変な感じだ――。

 窓の外では美しい、薄い水色に染まる朝の空が広がっていた。

 朝、寒い日はよく香織ちゃんと手袋を半分こしたっけ。

 なんか懐かしいな……。
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