誠の紅桜に止まる蝶~土方目線~
そして俺はゆっくりと目を開ける。

「おはよう。歳三。」

沙織が微笑む。

「どう?夏の宵の宴は楽しめた?」

「ああ。過去と未来を見てきた。」

「そう。」

そういって沙織はそっと立ち上がる。

すると蝶がこちらに向かって走ってくる。

それは幼い頃と何一つ変わっていなかった。

「ったく、絶対あいつは転ぶな。」

そう呟き構えの姿勢をとる。

「ひじかたさ、きゃああ!!」

案の定転びかける。

俺はさっと受止める。

「ったく。やっぱり桜のお転婆はお前譲りなんじゃねえか?」

ついそう呟くと驚いた顔をする。

「ひ、土方さんも未来をみたんですか?!」

「ああ。お前との未来をな。」

すると嬉しそうに微笑む蝶。

「近い未来、私たちはああなるんですね。」

「ああ。この夏の宵の宴は夢だが夢ではないものだからな」

「はい!!」

嬉しそうに頷く蝶を俺はそっと抱き締めた。
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