誠の紅桜に止まる蝶~土方目線~
そんな笑顔を見て俺はそっと口を開く。

「なあ沙織。聴いてほしいことがあるんだ。」

「なあに?」

不思議そうに首を傾ける。

「俺はどうしようもねえ男だって自分でもわかってる。だけど、お前はいつも俺の傍にいて笑ってくれているよな。俺はすごくお前に感謝してるんだぜ?」

「ふふ。急にどうしたのよ。」

「だけど、もう恋仲の関係は終わりにしねえか?」

そうつぶやくと沙織は驚いたように瞳を丸くする。

「え、それは別れようってこと?」

みるみる沙織の大きな瞳に涙があふれてくる。

「違う違う!!!」

俺は慌てて沙織の涙を拭う。

「別れようなんて言わねえよ。沙織。俺と恋仲じゃなくて夫婦になってくれねえか?」

「え・・・・?」

まるで不意打ちを食らったかのようで俺を見つめる。

< 125 / 178 >

この作品をシェア

pagetop