誠の紅桜に止まる蝶~土方目線~
「人の生きている時間なんてあっという間だ。だからこそ、その時間を大切にしなきゃならねえんじゃねえかって俺は思うんだ。」

黙って俺の話を沙織は聞いている。

「正直いって俺はいつ死んでもわからねえ人間だ。だけど、できるならこの先もずっと沙織と行きたいと思っている。だから、お前の残りの人生の時間を俺にくれねえか?」

沙織の瞳から真珠のような涙が零れる。

「私、なんかでいいの?」

「え?」

「私は普通の女の子じゃないのよ?ほかの子よりも多くのものを背負っているのよ?そんな私で左之助さんはいいの?」

「お前じゃなきゃだめなんだ。それに、お前の背負っているものなんてお前ごと俺が引き受けてやるよ。」

桜がはらはらと舞う。

「だから、俺と共に生きてくれねえか?」

すべての思いを乗せてお前にこの言葉をささやく。

すると涙をこぼしたままお前はくすぐったそうに微笑む。

「はいっ!!」

「これからもずっと一緒だ。死ぬまでも、死んでからもお前を絶対離したりしねえよ。」

そして力強くお前を抱きしめる。

すると拙く沙織もおれを抱きしめ返す。

ああ、俺が歩んできた人生はまた新しく今日から始まるのだなと思う。

「来年もこの先の未来もずっと俺と桜を眺めてくれよ。」

「もちろん。左之助さんこそ来年もこの先の未来もずっと私の隣で桜を眺めてね?」

「ああ、約束する。」

そして俺はそっと沙織に口づける。

永遠の誓いを込めて。
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