誠の紅桜に止まる蝶~土方目線~
「くっそ!!」

いくら斬ってもおさまらない怒り。

沖「土方さん。全員殺したらこいつらの目的がわからないじゃないか!!」

土「うるせえ!!」

そして目の前の最後の一人を倒そうと構える。

「土方さんっ!もうやめてくださいっ!!」

声と同時にふわりと背中にぬくもりを感じる。

土「え?」

振り返るとそこには涙目の蝶がいた。

土「蝶・・・?」

ぱちんっ

あたりに乾いた音がこだます。

沖・原「なっ・・・・」

2人があっけにとられたようにこちらを見る。

頬に微かに感じる痛み。

どうやら俺は蝶にはたかれたようだ。

蝶「っ土方さん!!感情に任せて剣を振るってどうするんです!!」

土「蝶・・・」

蝶「感情は時に人の冷静さを見失させます。もし、そのせいであなたが死んだらどうするんですか。後先をちゃんと考えて行動してくださいっ!!」

土「それはてめえもだろうが!!俺がどんだけ心配したかわかってるのか!?」

おもわず怒鳴ってしまう。

だけど蝶はひるむことなく涙を流しながら俺を見つめる。

蝶「わかってます。わかっているからこそ、いうんです!!!」

そしてまた口早に声を発する。

蝶「貴方は新撰組を背負っているのでしょう?だったら、もう少し自分を大切にしてください。なにもない私とは違うんですよ?」

ぎゅっと俺の羽織の裾を掴む。

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