誠の紅桜に止まる蝶~土方目線~
するとふわっと背中に温かいものがかかる。

「はい。羽織お洗濯しておきましたよ。」

すこし背伸びをして俺の肩に羽織をかぶせる。

「ああ。すまねえな。」

日のにおいと一緒に蝶の甘いにおいもする。

「一さんにも渡してきますね。」

そう言って蝶はパタパタとへやから出ていく。

斉藤にもこうやってきせるのだろうか。

ふとそんな思いが頭をよぎる。

「ったく、らしくねえな。」

今まで女に対してこんな風に考えたことはなかったのに。

また苦笑いが零れる。

そして隊士たちの元へ行くために部屋からでる。

すると、斉藤が庭にいた。

「はい。一さん。羽織です。」

「すまないな。」

蝶はそっと両手で羽織を渡す。

ただそれだけなのに

俺はなぜか少しうれしかった。

そして玄関に向かう。

そして準備をして出ようとすると向こうから蝶が走ってきた。

「いってらっしゃい!」

「ああ。いってくる。」

俺はそう言って玄関から出る。
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