誠の紅桜に止まる蝶~土方目線~
「沙織、こんな夜更けに何やってるんだ?」

庭に立ち月を見上げている沙織に声をかける。

「土方さんからの頼まれごとよ。」

「ああ。」

そして沙織は鈴を振る。

シャンシャン

あたりを優しく鈴の音が包む。

「きっと、この鈴が彼らを導いてくれるはずよ。」

そう言って沙織はにっこりとほほ笑んだ。

「今日は先に寝てて?私が寝たらこの夢は壊れてしまうから。」

「じゃあ俺もお前に付き合うぜ?」

「だけど左之助さん今日夜の巡察で疲れてるじゃない。」

すこし心配そうにこちらを見つめる。

「ばあか。お前が傍に居れば疲れなんか吹き飛ぶんだよ。」

「本当に、左之助さんはそうやって恥ずかしいことすぐに言うんだから///」

「恥ずかしいことじゃねえよ。事実だよ。」

そして沙織に近づく。

「綺麗な満月だな。」

「うん。きっと、いまごろ蝶たちは出会えてるんじゃないかしら?」

そっと二人で夜空を見つめる。
< 40 / 178 >

この作品をシェア

pagetop