誠の紅桜に止まる蝶~土方目線~
溜息をつきながら俺は部屋に戻る。

見上げると月が鮮やかに輝いている。

「冬の、月か。」

空気が澄んでいるせいかどの季節よりもはっきりと、光が見える。

まるですべてのものを包むような光だ。

「俺らがやっていることに意味があるのか?」

あまりにも月が綺麗すぎるから

俺はがらにもなくそんなことをつぶやいちまう。

すると遠くから誰かが歩いてくる。

「ああ、左之か。どうした?」

左之がそっと酒瓶を持ち上げる。

「ふっ。たまには付き合ってやるか。」

俺らはそのまま飲み始める。

静かな夜だ。

左「なあ、土方さん。沙織がすまねえな。」

土「なんでお前が謝るんだよ。まあ、惚れた女だからか?」

左「そんなところだ。」

本当にこいつも丸くなった。

以前ならば一人の女のためにあやまったりはしなかっただろう。

まあ、それを言うなら俺もか。
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