誠の紅桜に止まる蝶~土方目線~
部屋の中にはきちんと布団が敷いてあり、寝巻が畳んであった。

「土方さんお疲れ様です。」

そう言ってにっこりとほほ笑んでくれる。

「ああ。」

「今日はなにかありましたか?」

「いや、とくにはなかった。」

変に心配しやすいこいつに浪士との切りあいがあったことを言わなくてもいいかと思い嘘をつく。

そして俺は重い体を動かして羽織を脱ぐ。

蝶がそっと俺の肩に触れる。

するとふわっと温かさが包む。

「うそつき。土方さん。怪我してますよ。」

すこし怒ったような顔でつぶやく蝶。

「え?気が付かなかった」

俺は癒しの力を使って傷を癒す蝶を見る。

きっと眠れなかったというのは嘘だろう。

眠いせいか目元が赤く、少し潤んでいる。

そんな姿を見てつかれが一気に軽くなるような気がした。

「はい。これで大丈夫です。」

「すまねえな。」

すると蝶は少し困ったような顔で俺を見る。

「少しは自分を大切にしなければだめですよ?」
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