誠の紅桜に止まる蝶~土方目線~
「あの、土方さんすこしいいですか?」

「なんだ?」

すると俺の腕からするりと抜けてなにやら嬉しそうに蝶が押し入れからものを取り出す。

「それは?」

「土方さん、これはお誕生日の贈り物です。」

そう言ってそっと渡される。

綺麗な刺繍が施してある羽織だ。

「以前さしあげた着物と合うかなと思って。」

すこし心配そうに見る目る。

「お前がこの刺繍をしたのか?」

「はい!沙織に教わりながら頑張ったんです。」

そして俺はやっと納得がいく。

あの時隠していたものはこの羽織で、へやにかえってこなかったのはこれを仕上げていたからなのだと。

「すまなかったな。お前、これを仕上げるためにあの日徹夜したんだろ?」

「え?どうしてそれを?」

不思議そうにつぶやく。

俺は不意に泣きそうになった。

鬼の副長が情けねえな。
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