ハスキーボイスで酔わせて
「いやぁ、すみません。押しかけちゃって」
ハハハと眼鏡の奥で笑うのは、
春樹さんの友達、諏訪さんだ。
「ったく、来るなら事前に連絡とか入れろよな」
「近くを通ったもんで。あ、これ良かったらどうぞ」
ダイニングテーブルに向かい合って座る二人を、
私は春樹さんの横に座ってで見つめている。
諏訪さんが差し出した箱の中には美味しそうなケーキが入っていた。
「あ、私お茶の用意しますね!」
そう言って立ち上がると、
いやいやお構いなくとクスクス諏訪さんが笑った。