なつものがたり
「だてに二年半、希鷹といただけあるっしょ?」
「そーだな、さすがっ!」
そう言って、さみしげな視線でキスしそうなほど近くで。
あたしの目をじっと見つめる。
そーんな寂しそうな顔するならあたしの傍からいなくならないで。
ずっとずっと、一番近くにいてよ。
蒲田さんといる希鷹は、寂しい思いをしてばっかだよ?
また、捨てられるのがわかってて行っちゃうの?
「今回はさ、本気なんだって。
結婚してもいいって。
俺も落ちたよなぁ。
そんな言葉にころっと乗っかっちゃって。」
わかってるんだ。
じゃあ、なんで?
自分を傷つけてまで、“好き”を優先できる。
それだけ、それだけ、蒲田さんが好きだから。
そんなこと自問自答する自分に呆れてしまう。