なつものがたり
kaho 2
side kaho 一
泣きそうな顔をする希鷹にハンカチを渡すこともためらわれて、ただ精一杯、自分の思いを伝えたかった。
「希鷹、あたしはさ、なにがあっても友達だから。
一緒にいれても、いれなくても。
だから、自分を信じなよ!
好き、なんでしょ? ね?」
やば。あたしが泣きそ…。
「なんで、果歩が泣くんだよ、」
「はは。もらい泣き、か?」
「俺まだ泣いてねーし。」
そう言って、頭を撫でる希鷹に抱きつきたかった。
抱きついて、好きだから泣いてんだよ。
って言ってやりたかった。
だけど、ぐっと涙を堪えて希鷹に笑顔を見せることしかできない。
あなたの幸せを、願います。
ほんとは願いたくないけど、頑張って願います。
「帰るか。」
綺麗に日が沈むまであたしたちは手を繋いで、ただひたすらに海を眺めた。