なつものがたり
「わっ!!!」
気付いたら希鷹の顔が目の前にあって、顔を覗き込まれるような形になる。
「な、なに」
「なんで泣くんだよ、」
バレましたか。
「あ、いや、砂が目に入った…かも?」
「…あっそ。」
「お、おう。」
だめだ。
いつからだろう。
気付かなかった。
希鷹は
私だけを特別に思ってくれるって、そんなバカみたいなこと本気で思ってたんだ。
いつから、こんなに女々しくなったんだろ。
これじゃあ、希鷹の元カノたちとなんもかわんねーじゃん。
特別でも、なんでもねーじゃん。
やだ。やだよ。