なつものがたり
「ごめん!ハラ痛!涙出る!!
だから、じゃがバタやっぱいーや。
ちょっと、、ちょっ、と、。休んでいい?」
屋台がたくさんある道から外れたベンチに座る。
「俺、飲みもん買ってくるから待っとけ!」
と、腹痛という嘘を信用し走って行った春。
バカか、ほんと。
千尋も、馬鹿。
なんで、なんで。
最低だけど、人のせいにしなきゃやってけないや。
あれだけの人混みの中で希鷹を見つけてしまったこと。
それが一方的なのもまた笑えるけど。
この恋はいつまで経ったって実ることはない。
そんなの、最初っからわかってたのにさ、今さら、頭の中をぐるぐるすんだ。
“付き合いたくないの?”って。
やっぱり、“希鷹の特別” になりたかったな、って。