なつものがたり
結局、夏祭りは千尋と合流することもなく、帰宅した。
キス、してた。
抱きしめられて、少しだけ舞い上がった自分がアホみたい。
よくよく考えれば、希鷹は、めちゃめちゃ女好きで抱きしめるくらい、なんでもないんだ。
そんでもって。
なにより、蒲田さんが大切なんだ。
諦めなきゃ いけない。
期待したら、負け。
希鷹の幸せを願うって、決めたはずなのに。
すでに夏休みに入ってから一ヶ月も経ってて、高校生の弟の侑はあと一週間もせずに学校がスタートで。
と、いうことは
希鷹と連絡をとってない日々は一ヶ月に及ぶ。
大学に入ってから、今まで
連絡を取らなかったことなんか、一度もなかったのに。
どんだけ、一途なんだよアイツ。
どんだけ、好きなんだよ、あたし。
どうやったって、
あたしには届くことのない距離なのに。