なつものがたり






pipipipi




あまり、鳴ることのない携帯が震えてる。








希、鷹?














そんなわけはなくて、大学の友達からのメール。


明日あるバーベキューの詳細が送られてきた。







夏休みになる前は楽しみで仕方なかった予定だけど、なんだか希鷹に会うのが怖い。
希鷹の口から、蒲田さんの話を聞きたくない。


そんな思いばかりが頭をよぎる。








pipipipi





珍しいこともあるもので、
またもや着信音。







なんだ、千尋か。













「もしもs」



ー 果歩~!!!





食い気味に名前を呼ばれる。







ー あたし千晶と付き合うことになった〜!!!!!!



「おぉ、そりゃよーござんした。」








ー ちょ!自分が失恋してたってもっと喜びなさいよ!






どんだけ失礼なんだ、あんた。
いくら幼馴染といえど言っていいことと悪いことが!!!


と、反論することさえ面倒くさい。






ーま、そうゆうわけでさ、

今度また千晶と春と四人で飲みにでもいこー?!






「へいへーい。」


ー ほんっと、そっけない!ま、いいや!じゃーね!!アディオース!





有頂天になりすぎて語尾が変な挨拶になっていることにさえ気付いていなさそう。


しゃべりたいことだけドハッとしゃべって電話を切る。
いつも通りの千尋。





きっと幼馴染じゃなかったら仲良くない女子だな、なんてしみじみ思っていたらまたもや着信音。







なんだ?
今まであたしの携帯は電波を受信してなかったのか?

ってくらいの集中攻撃。












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