なつものがたり
あの、祭りの日以来に会う。
直接話すのなんか、
あの、海の日以来か。
「おまえ、ペース早くね?」
「そ?大丈夫大丈夫。」
皆からは少し離れて、木の幹で2人で座って何を話すでもなく、夕日が沈むのを眺める。
「希鷹?」
名前を呼ばれて、ドキリとする。
俺を見つめる果歩は、
「ほら、飲みすぎ。
酔っ払いの目んなってる」
俺を見上げる果歩の顔は
たまに果歩が陥る
たちが悪い酔っ払いのそれだった。
「酔ってない!!」
「ぜったい、酔ってるから」
「んなことない!」
「はいはい、」
いつものウルサイ果歩が戻ってきて、なんだかホッとした。
明らかに飲みすぎなのに止めたところで一切ペースを落とさず酒を平らげていく姿はある種、尊敬に値する。
明日、二日酔い辛いんだろうなぁ。
バーベキューも終盤になり、花火をし、他のメンバーはカラオケに向かうことになり、俺は完全に出来上がった果歩を家まで送るという被害を受けた。