なつものがたり





改札を出る時、

二つの手は離れた。






「コンビニ寄るか。」

「うん、」



急に夏の夜風に触れた手は

心もとなかった。






少しのお酒と沢山のつまみを買い、希鷹の家までを5分ほど歩く。




真っ白なアパートの前で、ここ、と立ち止まる。


希鷹が手馴れた様子で鍵を開ける。


「はい、どーぞ。」



「おじゃまし…」







< 53 / 92 >

この作品をシェア

pagetop