なつものがたり
あたし…泣いてる。
さっきも泣いたから、涙腺弱ってんかな。
この夏はよく泣くなぁ。
な~んか、惨めだ。
すんごく、惨め。
あたし一人だけ、恋してる。
あたし一人だけ、邪魔者なんだ。
財布が入ったバックも持たずに駆け出しちった。
携帯はポケットの中で
ブーブー震えている。
携帯を見なくたってわかる。
希鷹が、心配してかけてくれてるんだって。
それは、親友だから。
いっそ、
そんな優しさなら無くなっちゃえ。
てか、ほんっと馬鹿だなぁ。
今は、蒲田さんの誤解を解くのが先っしょ。
そう悪態ついても、
心の何処かで嬉しがってる自分がいるのがわかる。
だから、
だから、
電話には出れない。
こんな どす黒い気持ちのまんま、希鷹には、会えない。