なつものがたり
ブランコに座りながら、
他愛のない話をしているのが心地よかった。
ざっくりと事情を話すと、始発まで一緒にここで待っててやるよ!金も貸すし!
とか言い出す、やっぱり良い奴で。
なんかムカつくけど、春には幸せになってほしい
と、ほんのちょっとだけ願った。
「果歩!」
ウソ。
うそ、でしょ。
こんなこと、してくれちゃうから。嫌いになれないんだ。
馬鹿。
馬鹿希鷹。
「見つけた、」
希鷹が探し出してくれたことが嬉しくて、どうしようもなくて。
舞い上がってしまいそうなほどなのに。
言葉が、見つからない。
喜んじゃいけない。
これは、“親友”だからこそ、なんだ。