なつものがたり
さっきまで、彼氏と楽しそうに話していた笑った果歩の顔が、みるみるうちに、涙でいっぱいになる。
抱きしめたい、守りたい、
でも、それができるのは、俺じゃない。
それでも、果穂が 好きだ。
なんだ。
素直に認めたら、こんなに楽だった。
俺は、いつからか果歩を
一人の女の子として
好きで、
愛しくて、
守りたくて。
俺が果歩の一番近くにいるような、そんな気がしてた。
「なんで、出てった?」
果歩を責めるような口調になってしまう。
涙でいっぱいの果歩は、答えられない。
その果歩の横には、あの祭りの日、手をつないでいた長身の男。