なつものがたり






「ここで話さないと一生、後悔すんぞ?」




その男が言う。






「じゃ、希鷹くん。

俺は帰るから果歩よろしく!」





「は?!あ、あぁ。」





なんで、名前知ってんだよ、
あ、果歩がしゃべったからか。





そんな小さい果歩と彼氏の繋がりがチクチクと胸を刺す。






てか、泣いてる彼女を置いてくのかよ。










後腐れなく、その男は歩き去っていく。










彼氏が座っていた

揺れたままのブランコ。









俺はブランコに座る果歩の前に

目線を合わせるようにしゃがみこむ。


果歩の手を包み込むよう、握りしめる。


















「希鷹、あほ、ばか、」














「は?!」



涙が収まった、果歩の第一声に気が抜ける。










「なんでっ





なんで、ここにいるのが、わかったの、?」





そう言われると…。








「なんとなく?」



「嘘つけ、」








何度、電話しても、

留守電にしかならなくて




不安で、不安で。







自転車で家の近所は走り回ったけど、運動神経抜群な果歩だから、もしかしたら。






と、思った。








俺が、へこんだとき。




家から遠ざかりたい時、ふと行きたくなる公園。






家から歩いたら30分はかかるけど、


もしかしたら、と。






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