なつものがたり
午後一時に起床したにもかかわらず
あたしはいつのまにやら助手席で寝ていたらしい。
「果歩ちゃん起きて~」
「ん~?
わ!」
希鷹のどアップ!
ふわふわの茶髪に、
今日はコンタクトじゃなくて黒縁メガネ。
二重のくせに
少し眠そうな目。
綺麗な鼻におっきな口。
「そりゃ、モテるわな。」
自然とつぶやいていた。
「あ?」
「なんでもねーよーっだ!」
「俺に隠し事?!静かな海ってゆう難題をこなした俺に?!」
お、
確かに、海の匂いがする。
希鷹から目を逸らし、
車外を見る。
「うーみだー!!!!!!!」
日が沈みかけた海は
キラキラに輝いていて、
今まで見たどんな海よりも
きっとこれから見るどんな海よりも
綺麗なんじゃないかって。
「希鷹!
ありがと!
ちょーっ綺麗だな!!!!」
「おう。」