なつものがたり
「だけど、いざ、その人が本命の彼女と付き合っちゃったらさ。
寂しかった。
会いたくて…会いたくて。」
「ん。」
果歩が、こんなにも辛い思いをしていたのに、。
近くにいた俺は、なにも気付けなかった。
むしろ、そんなに好きなやつがいたのに…俺の告白は果歩の重荷でしかないのか?
「希鷹。」
「ん?」
果歩が真っ直ぐに俺を見つめる。
凛々しくて、可愛い瞳。
こんなにも、愛しい。
「希鷹、
好き。」
「はっ?!」
息が、止まるかと思った。
「バカ希鷹っ」
そういう果歩は、
茹でダコのように真っ赤で。
俺、どうすりゃいい?
果歩は、ずっとずーっと、俺のことを見ててくれたってことか?
どうしよ。
なに、これ、幸せすぎる。
「果歩、だめだ、俺。」
「バーっカ。」
そう言って、また泣き出す。
それは、幸せな涙?
涙の止まらぬ果歩をそっと抱きしめるとギューッと抱きついてくる。
「果歩、、
ありがとう。」