君の知らない空


その後もずっと晴れない気持ちのまま、ようやく長い一日が終わった。


ジムに行くぞ。
という意気込みさえ薄らいでしまっていたけれど、ジムへと向かう。


彼に会わなければ、彼に会って昨日のお礼をちゃんと言わなければという気持ちが私を突き動かしていた。


着替えを済ませてフロアに入ると、


「こんばんは、高山さん、昨日来ると思って待ってたんですよ」


インストラクターの沢村さんのにこやかな笑顔が、私を癒してくれた。来てよかったと気持ちがずいぶん軽くなり、胸がじんと熱くなる。


「待っててくれたんですか? 嬉しいなぁ……」


と返した私は固まった。


沢村さんの後ろに見える受付に彼の姿。
彼は受付を済ませて、早々に去っていく。更衣室へ向かうのだろう。


唖然とする私を見て、沢村さんが首を傾げている。



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