君の知らない空


二つ目の駅、霞駅近くのコンビニで、ついに私は力尽きた。


歩いて行こうだなんて、思った私が甘かったのかもしれない。電車で約十分かかる距離が実際に歩いたらどれくらいかかるなんて、全く考えもしなかったのだから。


単純に、歩けると思い込んでいた。


コンビニのトイレの中、洗面台の鏡に向かって髪を纏める。額から首筋に流れる汗を念入りに拭き取っても、次々と噴き出してきてキリがない。


疲れきった私は店内のレジ横の飲食出来るコーナーで腰を下ろして、ミネラルウォーターを飲みながら涼んでいた。


どうにでもなれ、と半ば投げやりに。


時刻は8時40分。
もう会議は始まっている。


あのまま夕霧駅で待っていたら、振替バスが来てたのだろうか。いや、まだ出てないはずだ。きっと。


とりあえず、職場に電話だけしておかなければ。


携帯電話を開いては閉じ、何て言おうかと言い訳を考える。背後に近づいてくる人影にも気づかないで。




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