君の知らない空

会社に電話したら優美が出た。
体調不良で休むと告げると、すごく心配してくれて申し訳ないぐらい。


会ったらちゃんと話すべきかな……


それから、霞駅にある市民病院へ。
ショッピングモールや霞港とは反対の山手にあり、霞駅からはバスに乗って5分ほどの場所にある。


私は車を運転出来ない。父が居たら車で送ってもらえるんだけど平日は仕事だし、母も車を運転出来ないから電車とバスで行くしかない。


診察の結果、骨に異常はなく軽い捻挫とのこと。今まで捻挫なんて大した怪我じゃないって思ってたのが、大間違いだと身をもって知った。


サポーターをぐるぐる巻かれて松葉杖を借り、湿布を大量にもらった。
松葉杖なんて、使ったことなんてないから変な感じ。でもサポーターを巻いて固定してもらっただけで、ずいぶん楽になる。


それにしても、総合病院はやたらと人が多くて時間が掛かる。帰る頃にはとっくにお昼を過ぎているし、お腹が空くし疲れたし。


早く家に帰って、寝よう。


松葉杖を使ってふらふらと病院を出たら、日差しが眩しくてよろめきそうになる。普段の日中は仕事だから外出することなんて滅多になくて、日差しに対する免疫なんて持ち合わせていない。


急いでバッグから日傘を出したけど、松葉杖が邪魔で差しにくい。
どちらかが要らないんだと、再び日傘を畳んでバッグにしまい込む。


すると目の前で、チカチカと光が揺らめいた。カメラのフラッシュに似た瞬き。


思わず、顔を背けた。


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