君の知らない空
眠るに眠れない。
ベッドの上に寝転がって、ぼーっと天井を見つめてる。枕元には携帯電話、いつ鳴るのかと気になって部屋を出る気にもなれない。
江藤は上手く聞けたのかな……
結果報告するとは言ったけど、今晩のうちに連絡してくるとは限らない。
でも江藤なら、今日中に連絡してくるはずだ。
と思ったら、携帯電話が電話が鳴った。
着信が江藤だと確認して、すぐに出た。
「高山、俺ヤバいわ……このままじゃ絶対に会社クビになりそうだわ」
第一声から沈んだ声。
「どうしたの? 美香と何話したの?」
と尋ねながらも感じていた。美香から会社の乗っ取りのことを聞いたのではないかと。
心の準備も出来ないまま、江藤が話し出す。
「白木に告られた……」
溜め息とともに吐き出された言葉に、私は息を呑んだ。
「え? それだけ?」
思わず聞き返した。それは予想だにしなかった答えだったから。
てっきり、美香から父親と乗っ取りのことを聞いたのだと思っていた。
でも美香が江藤のことを本気だったと分かって、少しほっとした。
「それだけって……俺から告らせてほしかったよ、俺にもプライドがあるんだから」
何か意味の分からないことを言ってるし……
「他には何か話さなかったの? 会社のこととか、何か言ってなかった?」
「ああ、もちろん彼氏はいないって。オバチャンの目撃談を話したら笑ってたよ、彼氏じゃなくてお兄さんだって」
「ええ? あの人、お兄さんだったの?」
「あの人って、高山も見たことあったのか?」
不意をつかれて言葉が出てこない。