君の知らない空
桂一が私を見つめている。
心配してくれてるのだろうか。
「ここでいい? もう少し手前まで行こうか?」
「いい、本当にありがとう」
振り切るように、何事もなかったように私は笑顔で返した。
桂一は優しい顔で
「何かあったら連絡してよ、ケータイ番号もアドレスも変えてないから」
と言って微笑んでくれた。
痛い……
胸が痛いよ……
その後は桂一の顔を見ることが出来なかった。
「ありがとう」
素っ気なく答えて、車を降りた。
私の声は震えていたのかもしれない。